「カメラの設定にある"測光モード"ってなに?」そんな疑問を持つカメラ初心者の方は多いのではないでしょうか。測光モードとは、カメラが写真の明るさを自動で決める際に「どの範囲の明るさを参考にするか」を選ぶ設定のことです。設定によって、撮れる写真の雰囲気や明るさが変わるため、理解して使い分けるとワンランク上の写真が撮れるようになります。
この記事では、初心者の方向けに代表的な測光モードの特徴や違い、使い分けのコツをわかりやすく解説します。
そもそも測光モードとは?
まず測光とは、カメラがシャッターを切る前に被写体の明るさを測定し、「どの程度の露出(明るさ)」で撮影するかを決めるための方法です。デジタルカメラやミラーレス一眼では、オート撮影でも露出に関わる重要な要素となります。
そして測光モードを簡単に言うと、カメラが「この写真はどのくらいの明るさで撮ればいいかな?」と判断するときの基準を決める設定と考えてください。人間の目は明るいところから暗いところまで自然に見分けられますが、カメラは機械なので、どこを基準にするかを教えてあげる必要があります。
代表的な3つの測光モードの違い
マルチ測光(評価測光)
画面全体を分割して、それぞれの明るさを評価し、バランスの良い露出に自動で設定してくれるモード。現在のカメラでは最も高度な測光方式です。
- 一般的な風景撮影やスナップに最適
- ほとんどのシーンで安定した結果が得られる
- 迷ったときはこれを選んでおけば間違いない
中央重点測光
画面中央を中心に全体の明るさを考慮して露出を決定。画面中央部分を約60〜80%重視し、周辺部分の影響を少なくします。
- 被写体が中央にいるポートレートに向いている
- 背景が極端に明るいシーンでも主役を適切な明るさで撮影できる
- 構図が決まっているときに威力を発揮
スポット測光
画面の一部分(通常は中央の3〜5%)の明るさだけで露出を決める。非常に狭い範囲での測光のため、ピンポイントで明るさを合わせたいときに使用します。
- 逆光や暗所にいる被写体の顔など、明るさを厳密に管理したいときに便利
- ステージ撮影や月の撮影など、特殊な条件下で真価を発揮
- 上級者向けの測光モード
初心者はどれを使えばいいの?
初心者にはまず「マルチ測光(評価測光)」がおすすめです。現在のカメラは非常に賢く、マルチ測光でもかなり精度の高い露出を自動で設定してくれます。特に風景・人物・スナップなど幅広く対応できるため、まずはこの設定で慣れるのが安心です。
多くのカメラではマルチ測光がデフォルト設定になっているので、特に変更する必要がない場合も多いでしょう。まずは基本の撮影に慣れてから、他の測光モードを試してみることをおすすめします。
測光モードを使い分けるシーン別例
シーン | おすすめの測光モード | 理由 |
---|---|---|
通常の風景・スナップ | マルチ測光(評価測光) | バランスの良い露出が得られやすい |
人物ポートレート | 中央重点測光 | 被写体の顔が中央に来る構図で安定した明るさが得られる |
逆光の人物や強い光の差がある場面 | スポット測光 | 顔だけ明るくしたいなど、明るさを正確に調整できる |
ステージやコンサート | スポット測光 | 演者にピンポイントで露出を合わせられる |
夜景や星空 | スポット測光 | 暗い中の特定の明るい部分に合わせて露出調整 |
測光モードを変えるときの注意点
測光モードは便利ですが、カメラ任せにしすぎず撮影結果を確認することも大切です。特にスポット測光を使うと、測った場所の明るさに大きく左右されるため、撮影後にヒストグラムやプレビューを見て明るすぎ・暗すぎを確認しましょう。
また、測光モードを変更したら露出補正も併用することで、より理想的な明るさに調整できます。カメラが判断した露出が気に入らない場合は、プラス補正で明るく、マイナス補正で暗くすることができます。
測光モードの設定方法
多くのカメラでは以下の方法で測光モードを変更できます:
- 一眼レフ:メニューから「測光モード」を選択、または専用ボタン+ダイヤル操作
- ミラーレス:メニューまたはファンクションボタンで設定
- メーカー別の名称:Canon(評価測光/部分測光/スポット測光)、Nikon(マルチパターン測光/中央部重点測光/スポット測光)など
お使いのカメラの取扱説明書で確認してみてください。
まとめ
測光モードは「どの部分の明るさを基準に写真を撮るか」を決める設定です。初心者はまず「マルチ測光」で基本的な撮影に慣れることから始めましょう。慣れてきたら、状況に応じて「中央重点測光」や「スポット測光」を使い分けることで、表現の幅がグッと広がります。
測光モードを理解することで、カメラが「なぜこの明るさで撮ったのか」がわかるようになり、思い通りの写真に近づけるはずです。設定を理解して、ワンランク上の写真を目指しましょう。