写真や動画について学ぼうとしたときに、最初にぶつかる壁の1つが「F値」だと思います。カメラ以外の世界では聞くことがない、いわゆる専門用語です。
・F値は写真のボケと大きく関係している
・風景写真はF値を大きくして(絞って)撮影した方がいい
などなど、F値はいろいろな所に出てきますが、そもそもF値って何!?と思っている方も多いと思います。
この記事では、カメラ初心者の方向けに、難しい物理的な話は横に置いといて、撮影の際にとりあえず使えるレベルでF値の解説をします!
F値はレンズの絞りと関係している
F値を理解してもらうための前提知識となる「レンズの絞り羽」について、最初に説明します。
絞り羽というのは、上の写真のような構造になっていて、F値の設定を変えると羽が動いて、中央の穴の大きさが変化します。
この穴の大きさを数字として表したものがF値です。
F値が小さいほど穴が大きく(絞りが開いた状態)、F値を大きくすると穴が小さくなります(絞りが閉じた状態)。
F値と明るさの関係
F値を小さくする、つまり絞りを開くと、例えば1秒の間にレンズを通る光の量は多くなります。
F値以外の設定が全く同じであれば、F値を小さくすると写真は明るくなります。
実際の撮影では、シャッタースピードやISOといった他の要素も関係するのでF値だけで明るさが決まるわけではありませんが、F値が小さい方が通る光の量が多いということは覚えておいて損はないです。
少しだけ難しい話をすると、F値以外の条件が全く同じであれば、写真の明るさはF値の大きさの2乗に反比例します。
つまり、F値を2倍にすると明るさは1/4になり、F値を3倍にすると明るさは1/9になります。
これが理由で、F値は1.4、2、2.8、4・・・といったように、√2(≒1.414)程度ずつ変化したような値で設定できます。
これを頭で覚えようとすると難しいですが、撮影していると自然に体が覚えていきます。
F値の違いによるボケ感の違い
F値は写真のボケに関係しています。
F値が小さい方が、ピントが合う奥行きは狭くなり、ボケは大きくなります。
実際に写真で確認してみましょう。
1枚目はF2.8で撮影、2枚目はF11で撮影したものです。
背景のカーテンを見ると、F11の方は柄まで分かりますが、F2.8だと分からないほどボケています。
またF2.8の写真では、手前側のカーペットもボケています。
ボケというと、つい背景だけ考えがちですが、手前側もボケるので、これを利用した表現もできます。
F値の目安を被写体別に解説
F値の設定に決まりはありません。
あるとすれば、自分がやりたい表現に合っているF値は何か?です。
参考程度に被写体別にいくつか目安をご紹介します。
風景撮影でのF値
風景撮影で全体的にピントを合わせたい場合は、F値を11など大きくします。
F値が小さい状態で撮影してしまうと、ピントを合わせた部分以外はボケてしまうことがあるためです。
F値は20以上まで設定できますが、大きくしすぎないのはF値は8前後がそのレンズの最も良いパフォーマンスを発揮するとされているためです。
もしF11でもボケてしまう場合は、画質よりピントを重視するのであれば、より大きなF値で撮影すると良いと思います。
手持ち夜景撮影でのF値
手持ちで夜景撮影をする場合は、F値を小さくします。
本当は全体にピントを合わせたいのでF値を大きくしたいところですが、F値を大きくするとレンズを通る光の量が減るため、シャッタースピードなど他の要素でカバーする必要が出てきます。
そうすると、写真がブレてしまったり、ノイズが乗ってしまうことになりやすいです。
手持ち夜景撮影では、ピントが合う範囲より、そういったことを回避することを優先して、F値を小さくして撮影します。
もし三脚を使ったり、どこかに置いたりして、カメラを固定して撮影できるのであれば、F値を大きくしてシャッタースピードを長くするのが良いと思います。こちらはまた別記事で解説できればと思います。
ポートレート撮影でのF値
これはどこまでピントを合わせたいかで、F値を決めます。
背景まではっきり写したいのであればF値を大きくしますし、モデルさんのみにピントを合わせたいのであれば小さくします。
とにかくF値を小さくしてボケを大きくして撮る!のような撮り方をしていると、レンズによってはモデルさんの必要な場所にもピントが合わないことになりかねないので、最初に何枚か撮影してみてF値を決めると良いと思います。
カメラでのF値の変え方を解説
以下記事で実際のカメラでのF値の変え方を解説しています。
キャノン、ニコン、ソニーなど、各メーカーでほぼ共通なので、F値の変え方を知りたい場合はご覧ください。
参考一眼レフカメラのF値の変え方!キャノン ニコン ソニーなど
「写真をボケさせるにはF値の設定が重要!」 本やインターネットでカメラについて調べると そういった言葉をよく見かけます。 確かにF値はボケに大きく関係しているので とても大事だと思います。 ただ、カメ ...
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さいごに
この記事ではF値(絞り値)について解説しました!
最初は、F値を小さくするとボケる!という理解で十分です。
実際にカメラでF値を変えながら撮影した写真を、パソコンやタブレットなどの大きな画面で見返すと、体感で覚えやすいと思います。
それでは!